つくる女性

WOMEN MAKE

リーガルのものづくりへのこだわりと信念。
同様に心を込めて、それぞれの作品に向き合う女性をご紹介します。
ものづくりへのこだわり、ファッションへの考えなど、そのライフスタイルについて語っていただきました。

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第12回 ジュエリーデザイナー 小山京子さん

浅草の北側、奥浅草と呼ばれるエリアにあるアトリエショップで迎えてくれたのは、デザイナーの小山京子さん。レース編みなどの繊細なニットと彫金、ビーズといった異素材を組み合わせて、独特なジュエリーを生み出している。ジュエリーのモチーフは、蝶やクマバチ、テントウムシやキノコといった自然の造形。かわいらしさの中にどこか毒を感じる作品には、物語を感じられる。

製作工程は、ほとんど彼女一人が担っている。細い糸を絡めとるように細かく動くかぎ針から、あっという間にレースが編み出されていく。小さな金属パーツが、やすりでひとつずつ磨かれていく。編み物だけでなく、彫金も手がける彼女の手元から、目が離せない。
工芸工業の専門学校を卒業し、働き始めたのは革小物の会社。入社直後から、女性向け商品の企画を担当したそうだ。その後、会社を辞めて飲食店で働いていると、思わぬ出会いがあった。
「お客様が出されたお財布が、私が企画したものだったんです。思わず声をかけると、その方は『とても気に入っていて、他のシリーズも買い求めた』とうれしそうに話してくださって。会社にいた頃は、自分が手がけたものが誰に届いているのかも、よろこばれているのかもわかりませんでした。自分が手がけた商品を大切にしてくれている方に会えて、もう一度、何かつくりたいと思ったんです」
すぐに、手近な革やビーズを使い、アクセサリーをつくり始めた小山さん。もっと個性的なものをと、ニットを使うことを思いつき、独学で編み物を習得した。
「ただ、ニットのアクセサリーはフェミニンになりがちで、あるとき友達に『かわいいけど、あんまり似合わないね』と言われてしまって(苦笑)。そこで、金属のパーツを加えることにしました。メタリックな質感で、雰囲気が締まります。そのうち、金属のパーツも自分でつくりたくなって、彫金を学びました」

作品作りで心がけているのは、自身が心惹かれた自然の造形をデフォルメしすぎないこと。トンボの節の数や、蝶の触角など、現実感を残したジュエリーは、見る人の心に深い印象を与える。
モチーフを決めた後、試作には時間をかける。イメージを下絵に描き、糸を編んでいく。ビーズの配置など、異素材パーツのバランス感にも気を遣う。素材の変更など幾度となく試行錯誤を続け、彼女が思い描いた造形に近づけていく。
「昔から、好きなものは変わっていません。子どもの頃、自分が空想の世界で遊ぶ中で、惹き付けられた物語や情景をカタチにしているだけなんです。大人の方が身に着けるたびに、空想をかきたてられるようなジュエリーを、これからもつくっていきたいです。まずは、新作の「きのこ」シリーズですね。きのこは調べれば調べるほど奥が深く、不思議で面白いジュエリーになりそうです」
「きのこ」シリーズのフェアを知らせるポスターには「楽しくそしてちょっと危険なきのこ狩りにお越しください」という一文が記されていた。彼女の紡ぐ物語はあちこちにちりばめられ、思わず引き込まれてしまうのだ。