つくる女性

WOMEN MAKE

リーガルのものづくりへのこだわりと信念。
同様に心を込めて、それぞれの作品に向き合う女性をご紹介します。
ものづくりへのこだわり、ファッションへの考えなど、そのライフスタイルについて語っていただきました。

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第9回 切り紙作家 矢口加奈子さん

自宅兼アトリエで迎えてくれた三原香瑛さん。早速、アトリエで作業風景を見せてくださった。ひとつひとつパーツを切り取り、工業用のミシンに向かう。

「今縫っているバッグは、改札口でICカードがないのか、バッグを探るOLさんの動きにおかしみを感じて……スマートに探せる形がないかと思ってつくったんです。逆三角形の下側に物が入ってしまうと取り出しにくいのですが(笑)、持つだけでちょっとワクワクしますよ」 厚い布を丁寧に縫い上げて出来上がるのは、三角形の“いびつトート”。このほかにも、唇の形をしたネックウォーマー“びるまき”や、手に貼って動かすことで完成するタトゥーシール“TEttoo”など、彼女が手がけるプロダクトは、名前にもおかしみがきいている。
子どものころから「楽しいこと」に貪欲だった。そして、パーツをつけたり、着方を工夫したりといった服のアレンジが好きだった。進学した専門学校では、ミシンを使った創作の魅力に取りつかれ、さらに学びを深めるため、ESMOOD JAPONへ入学した。 「卒業してファッション関係の会社に勤める中、自分にできるのは、アイデアを出し、手を動かすことだけだと気付いたんです。得意なことで力を発揮するためにも、ユニットを組もうと思いました」彼女がツクリテとして、作品やイベントのアイデア出しとプロダクトづくりを担当。そして、グラフィックを担うカキテ、営業や経理をサポートするニナイテの二人に協力を仰いだ。どちらも、彼女自身と、プロダクトの世界観を深く理解する、大切なパートナーだ。会社員だった3年間で貯めたアイデアリストは、人生ですべてやりきれないほどの数になった。今すぐアイデアを形にしなければ間に合わない、そう思った。

『Ukiashiダクツ』という、個性的な名前のユニットを始めたのは2014年。「私が“うかれた状態”が好きだということもあるのですが、浮き上がった場所から見た世界を表現したいという思いも込められています。ぷかぷか浮かんで見つめた世界には、楽しみがたくさん転がっている気がして」 彼女は、浮かんだ視点から、日常に転がるとんちやおかしみをキャッチして、練り上げて形にする。
「なくてもいいけど、あったらちょっとウキウキするものを作りたい。手にした方、目にした方の洒落っ気と好奇心が引き出されるようなものをと、毎日考え続けています」 彼女の創作はプロダクトにとどまらず、多数のワークショップも手がけている。この先は、プロダクトを多くの人に知ってもらう機会を探りつつ、さらに少人数制のワークショップにも取り組みたい、と話す。
「参加される方の毎日に“つくること”が加わったら、もっとワクワクできると思うんです。“つくりぐせ”がついて、今ある材料で何とかできないかとか、これを付け加えたらどうかな、と試行錯誤することは、仕事や遊びのアイデア出しにも役立つはずだと思っています」 彼女自身が長く育ててきたつくりぐせ。これからも、とんちとおかしみをこねてこねて、たくさんの人をうかれさせてくれそうだ。