REAL WORK

本物にこだわる仕事

世界に誇れる、現在進行形のメイド・イン・ジャパンをご紹介します。
研ぎ澄まされた美しいデザイン、使って心地よく、長く愛用できるクオリティ。
逸品が生まれる背景には、作り手の真摯な思いが息づいています。

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鞄

桐紋ジャガードカジュアルシャツ 素材:綿100%一部鹿革  価格:13,824円(税込)
デニムパンツ 素材:綿100%一部鹿革 価格:21,384円(税込)

Where good items come from Black oxide finish Black oxide finish

手持ちの服で叶える「色落ちしない、究極の黒」

京都で一世紀以上黒染めだけを手がけてきた染め物屋がある。
磨かれた技術は和装から洋装へ。染められた商品を購入するだけでなく自分の服の染め替えも可能。
究極の黒は多彩な可能性を秘めている。

「染め屋でも柄を染めるところと無地を染めるところは違います。そして無地の染め屋は色物専門と黒専門に分かれている。うちはずっと黒専門です」京都の織物産業は徹底した分業で知られる。株式会社 京都紋付は1915年の創業以来、黒専門の染め物屋として“より黒く、色落ちしない黒”を追求してきた。かつては主に和の正装である黒紋付を扱っていたが、需要の減少により洋装への技術転用を試みる。和装の黒染めの場合、幅約40cmの絹の反物が中心。一方洋装では、布を織る前の糸かできあがった製品を染めることになり、素材も綿やウールなどさまざま。このため薬品の開発や染める工程の精査には多くの時間を要したものの、もともと非常に扱いづらい絹を染める技術があったことが大きな助けとなり、洋装にはない深い色合いの黒染めを開発するに至った。

“究極の黒”を実現するのは、「色落ちしない染め」と「深黒(しんくろ)加工」の2つのステップだ。染めでは黒さを追求しつつも、ホコリや皮脂が目立ちにくい絶妙な色合いに。その後行う深黒加工は布の表面が光を吸収するよう施す加工で、機械のスピード、布にかける張力、薬品をしみ込ませた布を絞る際の圧力など、各工程で微調整を要する非常に繊細な作業。黒い生地はわずかなムラも目立つため高い技術が求められ、現在この加工を洋装で行えるのは同社のみだという。 深く、落ちない黒は多くの人を魅了し、現在ではファッションブランドの黒染めを「れい」という加工ブランドにて担当することも多数。加えて近年高い注目を集めるのが、和服で古くから行われてきた染め替えを洋服に応用したプロジェクトだ。古着ショップの服の染め替えを担当したほか、個人オーダーによる染め替えにも対応する。着なくなった服やシミや汚れがついた服を再生させるアップサイクルという点でも評価を受け、昨年は環境省主催の「グッドライフアワード」で実行員会特別賞を受賞するほどに。 

「黒は不思議な色で、高貴さ、慎み深さ、相手へ礼を尽くす気持ちなど多くの意味を持ちます。だからこそ我々はより深い黒を求めてきました。これがさまざまな形で評価いただけているのは大きな喜び。これからも京都で職人と共に、より最高の黒を目指したいと思っています」

Navigator:株式会社 京都紋付 代表取締役社長 荒川徹さん
HP:http://www.kmontsuki.co.jp