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WOMEN MAKE つくる女性 リーガルのものづくりへのこだわりと信念。
同様に心を込めて、それぞれの作品に向き合う女性をご紹介します。
ものづくりへのこだわり、ファッションへの考えなど、
そのライフスタイルについて語っていただきました。
第2回 日傘作家 ひがしちかさん

緑があふれる自宅兼アトリエで私たちを迎えてくれた、帽子デザイナーの苣木紀子さん。これまで、約12万個もの帽子を世に送り出してきた彼女は、日の光がやわらかくとける作業場で布を断ち、15年前から愛用するミシンで縫っていく。「これは一番簡単な作り方ですから」はにかむ彼女の手にかかると、ものの数分で平面から帽子の形が立ち上がり、ポンポンをつけてあっという間に完成。まるで魔法のようだ。

「幼い頃両親が自営業で、祖母の家がある田舎町で活発に育ちました。ソフトボールチームをつくって、監督の依頼まで自分でしたり…。一方で、祖母の影響で手芸に熱中し、友達に受験のお守りや、手袋をプレゼントしていたのを覚えています。喜ばれるのがうれしくて」チームでひとつのゴールを追う楽しさ、手作りのプレゼントで誰かの役に立てる幸せを、小さい頃から感じていたそうだ。しかし、20代後半から始めた洋服のデザインで成功を収めながら、学んだことがない服作りで人の役に立てているのかと疑問が湧いた。服飾の学校に通い、アルバイトに明け暮れる日々。毎日へとへとになっても答えが見えない中、ふと知人から「帽子作りを教えてあげるからこない?」と声をかけられた。何の気なしにベレー帽の作り方を教わったその日から、帽子のもつ繊細さに魅了された。「帽子は数㎜の違いでまるで別物になってしまう。夢中でベレー帽をつくっては友人にプレゼントしました。喜ばれるのがうれしくて、今度はキャップにチャレンジしよう!と取り組むうちに形のバリエーションが増えたようなものです」初めてつくったドット柄のベレー帽を大事そうに手にして、彼女は話す。プレゼントを贈るときの、互いにドキドキする気持ちを思い出した彼女は、帽子デザイナーとして会社に入り「valeur」というブランドを立ち上げることになる。
「オリジナルの商品は、布から独自に作ります。布を構成する糸の混ぜ方で、しわになりにくいもの、丸みがでやすいものなど特徴が出せるんです」ストローハットに巻かれたリボンは自分でペイントし、淡い緑いろのぼたんは、知人が作ってくれた陶器の釦。布から作ってしまうほどのこだわりは、細部まで徹底されている。

パリで行われるファッション小物の国際展示会「PremiereClasse」にも10年前から出展して評判となり、海外にもファンが増えた。チームにも恵まれ、売り上げも順調だったが、苣木さんは12年勤めた会社を辞める事を決心した。子供の頃つくったお守りや手袋。大人になって友人へ届けた帽子。世界中のお客様が手に取る帽子。彼女が想いを込めてつくるものの届け先には、いつも大切な人がいた。「理想論と笑われそうですが、これからは小さいながらも、消費活動の一端を担う者の責任として、作る人、売る人、買う人はもちろん、プラス未来の社会に対しても希望と喜びを渡せるものづくりをしたいです。」彼女は、帽子のデザインで、平和な未来をつくろうとしている。帽子は、彼女の想いを届けるメッセンジャーなのかもしれない。