REAL WORK

本物にこだわる仕事

世界に誇れる、現在進行形のメイド・イン・ジャパンをご紹介します。
研ぎ澄まされた美しいデザイン、使って心地よく、長く愛用できるクオリティ。
逸品が生まれる背景には、作り手の真摯な思いが息づいています。

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ハンカチ

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ポケットに忍ばせたい、小さなメイド・イン・ジャパン

中世ヨーロッパで贅沢品としてもてはやされ、時には愛を伝える贈り物だったハンカチ。
長い時を経て、今では日本で親しまれる存在に。
個性あふれる上質な一枚は、毎日を少し幸せにする。

ショップを訪れると、壁一面に並ぶ色とりどりのハンカチが目に飛び込んでくる。その数およそ200。すべてがオリジナルで、メイド・イン・ジャパンだ。ハンカチ専門店「H TOKYO」は10年前にオープン。主にシャツ生地を使った「スタンダード」(上写真)と、現代美術家や写真家、イラストレーターといったクリエイターの作品をブリントした「プリント」、2つのシリーズを展開している。それぞれ雰囲気が違いつつも、ともに一目でわかる上質さがにじむ。「『スタンダード』の場合、国産なら主にシャツ生地の産地である浜松や兵庫県西脇の生地を買い付けています。洗い込むと風合いが増し、手になじむんです。『プリント』は、横浜のハンカチ専門工場でプリントしています。色の調合、前処理、蒸し、水洗いと、各工程で専門の職人さんが携わっています」と、オーナーの間中伸也さん。これらの布を正方形に裁ち、縁をかがる。シンプルだが、美しい正方形に仕上げるには高い技術が必要だ。熟練した職人でも手巻きの縁かがりは1時間に4〜5枚、フレンチヘムという特殊な縫製だと1時間に1〜2枚しか縫えない。ミシンかがりも一般的な三つ折りではなく難易度の高い千鳥縫製を採用。美しい仕上がりのために手間とこだわりを積み重ねている。

ところで、実はハンカチは、日本以外ではあまり一般的でない。そもそも持ち歩く習慣がない国が多いうえ、ハンドドライヤーの普及などでハンカチの存在を知らない若い世代も多いのだ。「子どもの時『ハンカチとティッシュは持った?』と言われて育った我々からすると意外ですよね。ですが、もともと海外から入ってきたハンカチが、なぜ日本でこれほど浸透したのかと考えると、水が豊富な環境や、きれい好きの国民性、ちょっとした品を贈り合う習慣など、日本的なものと結びついたゆえなのではと。そう考えるとハンカチの存在そのものがメイド・イン・ジャパンなのではと思うんです」海外からの観光客が「H TOKYO」でハンカチの良さを知り、購入することも多いとか。手や汗をふくだけでなく、お弁当を包んだり、時には「素敵なハンカチですね」から始まるコミュニケーションツールになったり。作品がプリントされたハンカチは“持ち歩けるアート”でもある。四角い小さな布には、多彩な魅力が詰まっている。

Navigator : オールドファッション株式会社 代表取締役
「H TOKYO」オーナー 間中伸也さん
HP:http://htokyo.com